2011年7月22日金曜日

うさぎと先生8

1時間ほど眠って、うさぎは目を覚ましました。

「あぁ、僕は眠ってしまったんだね」
「そうよ」
先生は答えました。

うさぎは先生の様子が変わっている事に気が付きました。

「君、どうかしたの?さっきまでの君じゃないみたいだ」



「私は、コーヒーで、お砂糖で、クジラで、雨に濡れた音楽よ」
とても優しい気持ちで、先生は答えました。

うさぎは目を丸くして、とても驚きました。
「僕の好きなものばっかりだ!」

 

ふたりは少しの間じっと見つめ合うと、にっこり笑いました。

暫くすると、外でぱらぱらと乾いた音がし始めました。

「星が降り始めた、一緒に見よう」
「ええ」
「ずっと一緒にいる?」
「ええ」


当たり前のように、先生は答えました。


時計の針の音が、静かにかちかちと夜に響き続けました。
懐かしい気持ちを、大きくて優しい夜のクジラたちがかき混ぜていました。

<おわり>

2011年7月13日水曜日

うさぎと先生7

「うちにおいで」

駅で話し込んだあと、うさぎは先生をお家に呼びました。

コーヒーを淹れてくれたあと
うさぎは疲れて眠ってしまったので、先生は毛布を掛けてあげました。



うさぎが眠っている間、先生は


とても特別なコーヒーを飲みました。

<つづく>